2度目の投資ブーム
FIREを達成するためには、資産運用は不可欠です。その一方で、資産運用にはリスクが必ずありますから、自分で良く学んで選択する必要があります。それをまだ理解できていなかった二十歳の頃、投資デビューでちょっぴり痛い目に遭いました(詳細は以下の記事をご参照下さい)。今回は、その後に私にやってきた投資の波の話をしたいと思います。
-
関連記事投資デビュー
続きを見る
二十歳の頃にほろ苦い投資デビューをしつつも、多くを学ばなかった私に、また投資ブームがやってきました。それは私が1社目に就職して、しばらく経ってからのことです。入社して2年程経った頃だったでしょうか。当時、世間にもにわかに投資ブームが起こっており、ネット証券の口座開設が増えていた時期だと記憶しています。自分で収入を得て、生活もでき、多少の貯蓄もできるようになった頃、この投資ブームに乗せられまして、
「余裕資金(貯蓄)を投資に回すぞ!」
と意気込んでしまったわけです。確かに、投資は生活資金でやるべきではなく、余裕資金でやるべきですが、当時の私の貯蓄はその後の大きな出費を見越してのものでしたから、余裕資金とは呼べなかったなと今にして思います。にも関わらず、
「これは余裕資金。多少目減りしても問題ない。というかきっと増やせるはず!」
などと、また根拠のない自信を持ち、新たにネット証券口座を開設したのでした。
信用取引の魔力
こうして口座を開設し、さて何に投資しようかと考えていた際に、信用取引の紹介漫画を読んでしまったのです。子供の頃に、よく郵便ポストに入っていた、学習教材の紹介漫画のようなノリのやつです。「チャ〇ンジなら、1日□□分だけで良いから、続けられる!1カ月続けると、いつも××点だった点数がこんなにUP!凄い!」といった感じのやつですね。そんなものにまんまと感化されまして、
少ない元手でも大きく利益を出せる!」
などの甘い言葉を信じて、信用取引を始めようとしたわけです。今はどうかよくわかりませんが、一応投資初心者を保護するためか、ある程度の投資歴がないと、信用取引口座は開設できないことになっていたかと思います。(投資歴、投資経験を記入する欄があったはずです。)
しかし私は、二十歳の頃から一応投資経験?をしており、口座を保有している期間も5年以上ありました。投資歴と呼べないレベルの低い経験値であるにもかかわらず、ムダに積み重ねてしまった投資歴を活かして、信用取引口座を開設できてしまったのです。こうして、私にとっては何の障害もなく、信用取引口座というハイリスクハイリターンな扉が開いてしまったわけです。
信用取引とは
さて、信用取引の基本的なルールについて、簡単にお伝えしたいと思います。詳細は、証券会社のwebサイト等をご参照ください。通常の取引は、現金を証券口座に預け、その金額の範囲内で株や投資信託等の金融商品を買うところからスタートします。そして、それを売却した際の価格との差異で、損益が決まるわけです。ちなみに、この売却は、保有者の好きな時にいつでも売却して構いません(勿論買い手が居なければ売買は成立しませんが)。
信用取引が通常の取引と違う点は、大きく3点です。まず1点目は取引額です。通常取引(現物取引)では、口座にある現金の範囲内でしか投資をすることができません。一方信用取引は、自己資金(株でも良い)を委託保証金として、証券会社から資金や株を借りることができるのです。ただし、いくらでも借りて良いわけではなく、最大で約3.3倍というルールがあります。
次に2点目は、売りからスタートできる点です。現物取引では、値上がりするだろうと予想した株を買うところからスタートするしかありませんでした。信用取引では、逆に売ることからスタートできるのです。保有していないのに売れるなんて、不思議な気持ちになりますが、それは、証券会社から株を借りて売っているということです。勿論借りているので返す必要があります。そして、この時の返し方ですが、株を借りているので、株で返すわけです。取引を順に追って説明すると、
①証券会社から株を借りて売却する→
②現金を得る→
③その株が値下がりする→
④同じ数量の株を安く買える→
⑤買って返す→
⑥差額が利益になる
ということです。 きっとご理解いただけていると思いますが、念のため、数値を使って例を挙げます。
①A社の株(1株100円)を100株借りて売却する
②10,000円を得たことになる
③A社の株が1株80円に値下がりする
④返却するため100株購入する(8,000円消費する)
⑤証券会社にA社の株100株を返却し、
⑥差額2,000円が利益となる
ということです。
売りからスタートできるメリット
これのどこがメリットなの?とお思いの方がいらっしゃるかもしれませんが、売りからスタートできるということは、利益を得るチャンスが増えたということです。現物取引では、買いからスタートする以外にないため、「この株はこれから値上がりする!」と思うものがなければ、投資の機会がなかったわけです。
もし「これから値下がりするはず!」と分かっていても、それが値下がりした後、上昇に転じるところでしか利益が得られないのです。上昇に転じてくれれば良いですが、下がったままであれば、現物取引では利益を得る機会はありません。つまり、売りからもスタートできるということで、日々の値動きの中で、利益を得るチャンスが2倍に増えたと言っても良いでしょう。
3点目は、反対売買の期限がある点です。現物取引では、買った株をいつまで保有していても構わないです。しかし信用取引では、決まった期間内に反対売買を行わなくてはいけません。例えば先程の例では、A社の株を売ったけれども、A社の株価が上昇してしまった場合、買って返したら損をしてしまいます。なので、売った時点よりも値下がりするまで待ちたいわけですが、ある期限内に買い戻して返却しなくてはいけないということです。
ちなみに、信用売りで取引をし、その株価が暴騰を続けたらどうなるでしょうか。極端なことを言いますが、1円だったものが1億円になれば、ほぼ1億円の損失です!恐ろしいですね…。現物取引では、保有している会社が消えてなくなったとしても、自己資金以上の損失は発生しませんが、信用売りの場合は、理論上は無限大の損失が発生するリスクがあるわけです。信用買いの場合であっても、自己資金以上の損失を被るリスクはあります。例えば、レバレッジをかけて投資した株の価値が半分になったケースを見てみましょう。以下に例を挙げます。
・現物買いの場合: 自己資金10,000円を投資 → 株価半減(5,000円の損失) → 資産価値5,000円(負債0円)
・信用買いの場合: 自己資金10,000円にレバレッジをかけて30,000円分投資 → 株価半減(15,000円の損失) → 資産価値0円(さらに5,000円の負債)
このように、レバレッジをかけておいて、株価が大きく下がってしまうと、自己資金以上の損失を被ることがあるのです。怖い話ですよね…。なので、十分リスクを理解したうえで、自己責任でやる必要があります。そして、過去の私は安易に始めてしまったわけです…。
通常の株式投資では、企業の活動を加速させるという間接的な社会貢献がありますが、空売りで利益を得ることは、所謂グリッチという考えもあります。このサイトでは、空売りを積極的に勧めているわけではありませんので、ご注意下さい。
信用取引について、ざっくりと説明しましたが、私の説明では至らないところもあったかと思います。詳しくは証券会社のサイトをご参照ください。一例として、以下にSMBC日興証券様のサイトのリンクを貼っておきます。
ちょっと前置きというか、信用取引の説明が思いの外長くなってしまいました。私の信用取引デビューについては、また次回お話したいと思います。