不動産

不動産、個人で所有するか法人で所有するか

税制面から考える

不動産投資を始めたことについて、過去のいくつかの記事でお話ししました。そのうちの一つ(以下)で、

個人で保有するか、法人で保有するかという議論については、また別途記事にします。

と言ったまま、お伝えできていませんでしたので、今回は、その件についてお話をしたいと思います。

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物件を「個人で保有するか、法人で保有するか」については、不動産投資をするにあたってよく為される議論です。そして一般的には、「税面で有利な点を選択すれば良い」というものが結論かと思います。以下の国税庁のサイトに、法人税率について記載があります。このサイトにあるように、法人の規模や利益の額によって法人税率は変わります。法人税以外にも、法人住民税(法人税割+均等割)も納付する必要があります。

No.5759 法人税の税率

条件次第で変わりますから、きちんと計算されることをお勧めしますが、ここではざっくり実行税率を30%と仮定しましょう。これに対して個人の税金、所得税の税率は、同様に国税庁のサイトから、以下のように決められています。

No.2260 所得税の税率

課税所得金額が330~694.9万円の場合ですと、所得税率が20%(+復興特別所得税)になります。これに住民税10%を足すと、30%(+復興特別所得税)になりますね。 課税所得金額が上記の範囲に入る年収というのは、個人の扶養の状況等によっても変わりますので、一概には言えませんが、およそ650~1100万円の範囲のようです。

つまり、この年収レンジを超えてしまえば、法人で税金を払った方が得になります。ですので、個人の年収が一定以上であれば、不動産賃貸収入を法人で得た方が良いと言われるのです。

最初から法人でスタート!

税金の観点からだけ言えばその通りです。しかし、税金以外の観点からも考える必要があると思います。具体的に、一番重要な観点は、融資の受けやすさの観点です。 融資の点で言えば、最初は個人が有利だと思います。全く収入がない立ち上げたばかりの法人では、有利な利率で貸してもらえる方はそう居ないかと思います。個人の信用に比べて、設立したばかりの法人の信用なんて無いでしょうから。

それでも、スタートしないことには信用なんて積みあがりません。信用が積みあがれば、法人での融資も利用しやすくなるでしょうし、条件も良くなっていくことでしょう。聞くところによると、規模を大きくしないまでも、黒字経営を続けておくことだけでも、法人としても信用も上げられるようです。

ですので、不動産投資事業を大きくするつもりがあるのであれば(少なくとも個人で所得税率20%以上の規模に)、どこかのタイミングで法人化した方が良いと考えます。それも、融資の条件がいずれ良くなることを期待するのであれば、なるべく早くに。ということで、私なりの「個人 or 法人」の結論としては、「最初から法人」としました。

FIREというワードが出ない記事も多いので、結構忘れがちになりますが、すべてはFIREを目指すための手段です。不動産投資も、FIREを目指すための収入の柱と考えるのであれば、それなりの規模を狙うことになります。であれば、現時点の年収がいくらであろうと、「最初から法人を設立して法人で投資をする」という選択で良いかと思いました。

もし法人の方ばかりが伸びて、税金面でデメリットを感じるようであれば、個人での購入を進めても良いでしょう。その時には、法人を保有していることで融資も引きやすくなるのではないでしょうか。あるいは、本業の年収もそれに負けじと上げる努力をしても良いと思います。そうすることで、今度はまた法人でも融資も引きやすくなるでしょうから、いずれにしても相乗効果が期待できますね。

ともあれ、私のこの選択が正しかったかどうかは、あと数年(5年以上?)、不動産事業を運営できてから分かるのでしょう…。

その時までこのブログを運営できていれば、また報告させていただきます。

株式会社か合同会社か

その他にも、最初から法人化することの狙いがありました。それは、法人化のプロセスや、法人運営の経験を積むことです。マイクロ法人だし、不動産賃貸業という限られた経験になりますが、それでも今後のキャリアでプラスに働く可能性があると思いました。

勿論、その経験を積むうえで得られる新たな人脈も、新しい可能性を示してくれる大切な資産になり得ます。それに、多少なりとも苦労して法人を作っておけば、折角作ったのだからと、事業を中途半端にせずに、自分の背中を押してくれる効果も狙いました。

では、法人の設立ですが、法人としての選択肢は、マイクロ法人として始める場合は、株式会社と合同会社の2つがあります。 株式会社の方が信用度が高く、大きな企業と取引するような場合であったり、融資を受ける場合などに有利になると言われています。一方で、合同会社の場合は、その設立のコスト(登録免許税)が9万円安く抑えられます

融資は勿論大事なポイントなのですが、最初は個人の信用力を利用せざるを得ませんから、設立時点ではどちらでも変わらないのではないでしょうか。そして、実際に事業が回りだした後は、その運営状況が融資の判断材料になるでしょうし、なにより購入予定の物件の担保価値が一番の基準になるでしょう。

ですから、不動産賃貸業においては、会社の形態による信用力はあまり大きく影響しないように思いました。全く別の業態で、新規の取引先をどんどん開拓していく必要性が高いものであったり、大企業との取引を考えているような場合は、勿論信用力は重要です。その場合であれば、株式会社を選択すべきでしょうが、不動産賃貸業の場合は合同会社でも良さそうです。ですので、結論として、私は合同会社を選択しました

では、具体的な設立のプロセスについては、また別の記事でお話ししたいと思います。

  • この記事を書いた人

nozy

40代理系サラリーマン|キャリアアップ、転職、副業(複業)、不動産事業などにチャレンジしながら、FIREを目指して奮闘中

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