会社の設立ツール
前回、「不動産を個人で所有するか法人で所有するか」という議論について、記事にしました(以下)。その中で、不動産賃貸業については、最初から法人で始めた方が良いと結論づけました。そして、その法人の種類としては、合同会社で良いだろうと判断しました。今回は、法人(合同会社)設立の具体的な手続きについて、お話ししたいと思います。
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法人設立の具体的な手続きですが、会計ソフトの記事(以下)でも挙げたfreeeや弥生が、以下のようなツールを提供してくれています。
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私もこれ(弥生の方)を利用させていただき、それ程苦労することなく、定款の作成、法人設立と進めることができました。途中で色々と疑問点が出てくるかもしれませんが、ヘルプが整っていますし、多少ネット検索するだけでも解決できるレベルでした。
是非これらのツールを活用されることをお勧めします!
法人設立の事前準備と定款の策定
事前に用意しておく方が良いものとしては、法人印があります。これも設立フローを進める際に出てきますので、忘れることはないかと思いますが、デザイン等こだわりたい方は、事前に考えておいた方が良いでしょう。それ以外ですと、役員になる予定の方全員の印鑑証明くらいでしょうか。あと、細かいところですが、CD-Rを用意しておいた方が良いです。電子定款を選択されるかと思いますので。
勿論、会社名や所在地も事前に決めておいて下さいね。何を事業とする会社かも重要です。定款の内容に関わってきますので。私の場合は不動産関係でしたので、それをプルダウンで選択すると、定款の内容も自動的に決まりました。
勿論自分で追記修正することも可能でした。ここでの注意点は、所謂大家業だけを想定しているのであれば「不動産賃貸業」に限っておいた方が良いという点でしょうか。プルダウンで選んだだけであれば、不動産売買等も事業内容に含まれました。
そもそも不動産売買は宅建業の免許がないと、業務として行うことが出来ませんし、これがあると、銀行としてもアパートローンのようなものを適用することが難しくなるケースがあるそうです。もし融資をお願いする銀行様が決まっているようであれば、確認した方が良いかと思います。あるいは、最初から不動産売買を削除することをお勧めします。
役員報酬や社会保険について決める
その他、注意する点としては、給与や役員報酬の部分でしょうか。給与は、誰か役員以外の従業員を雇う場合に発生しますが、創業したばかりのマイクロ法人なら従業員は居ないかと思います。従業員は居ないとして、その場合は役員だけになりますね。しかし、役員報酬を発生させると、社会保険なり何なりと、色々と手間が増えることになります。
当面は大きな利益が発生することはそうないでしょうし、多少の利益が出たとしても、それは次の投資の資金にすれば良いかと思います。本業の収入だけでは生活に支障が出るなど、そういった事情がなければ、当面は役員報酬はゼロとした方が良いでしょう。
ただ、ご自身あるいは役員にしていたご家族が本業を辞めた、そしてもう片方の扶養に入ることも難しく、個人で社会保険料の費用負担が発生する、といった場合には、なるべく費用を抑えられるよう、役員報酬と社会保険料の負担をした方が良いケースもあります。
私が後悔した点
最後にもうひとつだけ。決算期についても、よく考えられた方が良いかもしれません。特に、税理士さんをつける予定があるようでしたら、設定される前に相談された方が良いかと思います。私は、自分の確定申告と同じ時期の方がやりやすいかと思い、決算期を12月にしましたが、私が今お願いしている税理士さんから、
と言われてしまいました…。ただ、決算期の変更については、定款の変更登記は不要で、その気になればすぐに変更できるそうです。変更登記が発生して、また費用が掛かってしまってはもったいないところでしたが、良かったです。
その他の後悔している点は、代表者の設定です。 私は妻を代表にしました。その理由はいくつかありますが、そのひとつは、女性が代表である場合、政策金融公庫等からの借入で有利に働くことがある点でした。ところが、2軒目以降の物件購入の際に、このメリットを活用しようと思ったのですが、設立から拡大のペースが速すぎるとのことで、融資不可…。メリットを活かせませんでした。
それだけならまだしも、銀行巡り、各種契約について、当然ですが代表者の同行やサインが求められて、とても面倒なことになっています。私一人ならスケジューリングも簡単ですが、妻もとなるとなかなかうまく進められません。
この点については、私を代表にしておけばよかったなと、後悔しました。
そこはご家族のご事情もあるでしょうが、あまり融資のメリットだけ考えても良くないかと思いました。ただ、不動産投資をしていることを、会社に対して知られたくない場合は、ご家族を代表にしておいた方が良いでしょう。どの法人の代表者が誰であるかは、公になりますので。
いよいよ登記手続
さて、諸々決めることを決めましたら、定款の内容は完成です。司法書士さんから、定款見本が送られてきましたら、内容を確認します。問題がなければ正式な定款を作成いただき、それをCD-Rに保存しておきます。
その前に、資本金をその分担割合に応じて、どこかしらの口座(まだ法人口座でなくても大丈夫です)に入金した履歴を作成しておきましょう。この定款と、その他登記書類を所在地を管轄する法務局に提出して、問題なければ法人登記の完了です。法人の設立日は、これが提出された日になります。ですので、希望の設立日がある場合は、その日に提出に行くか、郵送の場合でもその日に到着するよう指定するなど、対応が必要です。
設立日、その後もたびたび登場することになりますので、確かに覚えやすいものの方が良いなと思いました。
登記がいつ完了するかは、登記申請書類を提出した法務局サイト(以下は各都道府県別のリンク集)から、登記完了予定日を確認することで調べられます。実際に登記が完了すれば、以下の国税庁法人番号公表サイトから、ご自身の法人を検索することでわかります。
登記が完了してから、法務局から来る連絡は、法人番号指定通知書が送付されるだけです。それも数日後だったかと思います。早目に確認されたい場合は、上記の方法で対応されると良いと思います。実際に、自分の法人が検索してヒットすると、嬉しい反面、「自分なんかが法人を設立してしまったのだな」と気が引き締まる思いでした。
登記が完了したら、印鑑証明書や、登記事項証明書を複数取得しておきましょう。法人口座の開設や、銀行への融資の依頼等、様々なシーンで必要になりますので。
今回は法人設立の手続きについてお話しさせていただきました。では、今度はまた副業についてのお話をしたいと思います。