人材としてのレアリティ
FIREへ近づくためには、本業収入を上げることが効果的です。そのために、学位を取得するという手段について、お話しました(以下)。
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今回は、学位と別の学位、あるいは学位と資格を掛け合わせることの重要性や効果について、お話したいと思います。
転職市場で価値を高めるために、もうひとつ考えたことがあります。それは人材としてのレアリティを高めることです。 物の値段は、基本的には需要と供給のバランスで決まります。ということは、人材として希少価値があればあるほど供給が少ないわけですから、価格は跳ね上がります。つまり、高い報酬を払ってでも獲得したいというオファーが増えるだろうと想定されます。
ではレアリティを高めるためにどうするか。ひとつのスキルを誰よりも深堀りし、その分野の第一人者になるという選択肢もあるでしょうが、 諸々考えた結果、ちょっと効率が良くないように思いましたので、私は所謂「掛け算」でレアリティを高める方法を選択しました。 何と何を掛け算するかですが、片方は勿論博士です。もう一つは、研究アイデアをビジネスにつなげるためのスキルということで、MOTかMBAが良いのではないかと考えました。
MBAはよく聞きますが、MOTはManagement Of Technologyの略で、技術経営と訳されます。「技術から如何にして経済的価値を生み出すかという考え方」という説明になるでしょうか。
企業で研究をやっていると、特に大きな企業で分業が進んでいると、研究以外の業務を経験する機会は限られてしまいます。 その結果、研究以外のことはできない人材になってしまう人が少なからず居ると思っています。
というか、周りを見てみると結構な割合でそうかも、と思ってしまいます…。 まぁ役割分担している以上、それが正しい結果かもしれませんが…。
そういう人材では、折角面白い研究アイデアであっても、それを社会でどう活かすかという部分をうまく訴求できません。その結果、その研究成果が世に出ることなく終わってしまうこともあります。 (そして、そういった人材になってしまうと、自分の将来のキャリアパスの選択肢も限られてしまいます。) こういったケースを多々見てきていたので、というか自分でも経験していたので、「ビジネスを見据えた研究テーマを立案できる人材」というレアリティを目指しました。
MOTかMBAか
研究アイデアの社会実装というテーマに限って言えば、MOTが相応しいように思いました。しかし、経営者視点を学ぶという点では、MBAの方が適しているとも言えます。 どちらか迷いましたが、その前に大きな課題がありました。それは当時私が住んでいた場所です。当時は地方小都市に住んでおり、そこから通えるか、オンライン授業を提供してくれる学校でないと、そもそも継続して学ぶことすら難しかったわけです。 勿論社会人としてフルタイム勤務していたわけですから、それも考慮したうえで。この地域から通える、あるいはオンライン授業という条件から、MOTという選択肢は現実的ではなくなりました。
今はどうか知りませんが、当時はその地方小都市からフルタイム勤務しながら通える学校、あるいは全てオンラインで対応可能な学校は、MOTについてはありませんでした。 MBAの方も、通えるものはやはりありませんでしたね。大体大都市にしかキャンパスはありませんので、通学は難しかったです。
グロービスでMBAを取得する
そんな中でも、全てオンラインで授業を完結できる学校がありました。 それがグロービス経営大学院です。他にも、SBI大学院大学、ビジネスブレークスルー(BBT)大学院などもありますが、私はグロービスを選択しました。
グロービスでの体験等、詳細はまた時間のある時に記事にしたいと思います。
全てオンラインで対応できる点以外にも、単科生として、4月以外でもスタートできる点、その単位が本科生となった後でも有効である点など、入りやすい工夫がいくつもありました。そして、 やはり大きいのは、専門実践教育訓練給付金が使える点ではないでしょうか。FIREを目指すうえで、何事もコストパフォーマンスを重視することは重要です。
MBAの取得が今後のキャリアに良い影響をもたらし、授業料と使った以上のリターンをどれくらい得られるかは、個々人のその後の(学習中含む)努力次第でしょうが、あまりに高い授業料を支払うことで、却ってFIREから遠ざかってしまっては元も子もありませんからね。上記3校とも、この給付金の対象で、最大112万円の給付が受けられます。卒業までの費用は、どの学校でも300万円程ですので、その約1/3が戻ってくるのは大きいですね。
念の為述べておきますが、通学タイプの他の学校でも、この制度の対象校であれば、勿論給付は受けられます。
この点も含めて、入学を後押ししてくれる様々なメリットを感じ、グロービスを選択しました。グロービスには、まず単科生として入学しました。これは、「まずは単科生でお試しとして初めてみよう」という気持ちよりも、こういった学びについて検討していた、時期的な理由が大きかったですね。 そもそも、研究→ビジネスの繋がりの部分を学びたかった理由は、1社目で研究テーマをいくつも立案することはできていたのに、それをビジネスとして成立させるところまでの構想を、私が十分に描けていなかったと感じていたからです。
そのせいで、研究としては面白くても、それが企業の利益になるのかという視点から考えて、テーマが消えていくこともありました。言い訳になりますが、そんな視点を養う機会が得られなかったのです。 一介の研究者として、ずっと企業に勤務していては、この視点は身に着けにくいと思った結果、MBAやMOTの取得を目指したわけです。そして同時に、「博士xこれらのいずれか」という掛け算人材になることで、人材としてのレアリティを高められると考えたわけです。
話が逸れましたが、つまり1社目での不完全燃焼感を感じていた、ちょうど1社目の退職時期に検討していたので、その思い立った時期に入学できるという点で、単科生からスタートしました。 もし4月まで全くスタートできない状況だったとしたら、半年間(単科生としては10月に入学しました)も期間が空いていたわけで、途中で何か別のことに興味が移り、MBAを取得するという人生を送っていなかったかもしれません。
入学のチャンスを、年に一度に限らないという制度は、機会損失を減らすとても良い手法だと思いました。 大変勉強になった科目のこと、レポートや課題の苦労話など、記事にしたいことはたくさんありますが、それはまた機会があればということにしたいと思います。 ここでは簡単に結論だけ触れます。フルタイム勤務しながらというのはなかなかハードでしたが、家族等周りのサポート(理解)もあり、単科生として所属した半年を加えて、計2年半かけまして、無事にMBAを取得することができました。
週末も長期休暇も有休も、結構な割合を勉強に充てることになるかと思いますので、ご家族の理解が得られない方は、安易に取得を検討しない方が良いかと思います…。
MBAの取得と転職
そしてMBA取得後、その学びが活かせる環境を求めて、3社目に移りました(この転職の話もまた別途…)。この転職の際には、MBAを学んできたことが、やはり採用に影響したのではないかと思います。 ですので、キャリアアップ、そして年収を上げるという点では、このMBA取得は有効であったと感じています。
それはそれで良いのですが、折角学んだことを実際に活かせなくては、ただ収入を上げるためのツールでしかなかったということで終わってしまいます。 使わなくては学んだスキルも錆付いてしまいます。その結果、その学位に見合う人材でなくなってしまっては、その後のキャリアにおいて、学位がむしろ邪魔になってしまいかねません。(MBAだから経営に近いところで採用したのに、実際はそのスキルがないとか。) そうならないためにも、やはりその学びを活用し続けなくてはいけません。
3社目では、研究から具体的な事業企画まで、私の業務範囲は広がりまして、2社目よりは遥かに学んできたことが活用できる(というか活用しないといけない)環境でした。 しかし、それでもやはり研究寄りの業務が主です。少なくとも、副業や設立した法人の部分では、少なからずこの知識を活用できてはいるのですが、そこは少し勿体ないところだと思いました。
かといって、研究を全くしないようになるのも、それはそれで嫌ですが、もう少しMBAの学びが生かせる環境が欲しいなと思っています。4社目を検討する際には、この観点がポイントになりそうだなと、ぼんやり考えています。
もう4社目の話をすると、また転職するのか!と家族から怒られそうですが…。
今回は以上です。皆様も、お持ちのスキルと何かを掛け算して、人材としてのレアリティを高められるかと思います。その何かを学ぶことで、自分の人生の選択肢を増やしていただきたいと思います。本記事が何かのご参考になれば幸いです。